2026年10月23日時点の情報です。

政府は2026年10月9日、飲食料品の消費税率を2027年4月1日から2年間、1%に引き下げる法案を閣議決定し、国会に提出しました。法案は衆議院で審議中で、国会で可決・成立するまでは確定していません。国税庁は、法案が成立した場合の取扱いをQ&Aで公表しており、食料品を売る事業者だけでなく、食料品を仕入れる飲食店なども、請求書や会計処理で対応が必要になります。

概要

法案の名称は「租税及び社会保険料による負担の軽減のための飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の支給に関する法律案」です。2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を、国の消費税0.78%と地方消費税0.22%を合わせて1%とします。

1%の対象となるのは、現在軽減税率(8%)の対象となっている飲食料品で、範囲は変わりません。酒類や外食はこれまでどおり10%で、定期購読の新聞(週2回以上発行されるもの)は1%にはならず8%のままです。

期間飲食料品定期購読の新聞酒類・外食など
2027年3月31日まで8%8%10%
2027年4月1日〜2029年3月31日1%8%10%
2029年4月1日から8%8%10%

同じ法案には、働いている人の税金や社会保険料の負担を軽くするための「就業者負担軽減支援金」も盛り込まれています。前年の所得などの要件を満たす人に毎年1回支給するもので、金額や所得の基準は、今後政令で定められます。

経緯

政府は2026年9月15日に制度の大果を閣議決定し、同じ日に国税庁が特設サイトを開設して、事業者向けのQ&Aやパンフレットを掲載しました。その後、10月9日に法案が閣議決定されて国会に提出され、10月20日に衆議院の財務金融委員会に付託されています。国税庁は10月9日、消費税の申告書の新しい様式(下書き版)も公表しました。

今後の予定

2026年10月23日時点で、法案はまだ成立しておらず、内容は確定していません。法案は、衆議院と参議院の両方で可決されると法律として成立し、その時点で確定します。法案が提出された臨時国会の会期は2026年12月12日までです。

国税庁のQ&Aや特設サイトの内容も、法案が可決・成立した場合の取扱いとして公表されています。この記事の内容も同じ前提です。

解説

消費税は、事業者が売上で預かった消費税から、仕入れや経費の支払いで払った消費税を差し引いて、その差額を国に納める仕組みです。今回の引下げでは、食料品を売る側も買う側も税率が1%になるため、業種によって納める税額の変わり方が異なります。

いつの売上から1%になるか:2027年4月1日以後に食料品を引き渡した分からです。3月31日までに仕入れた食料品は、4月以降に売った場合でも、仕入れたときの8%のままです。また、4月以降に引き渡すものでも、代金を先に受け取っている食材の定期便や、カタログで注文を受けるお中元などの通信販売は、契約や申込みの時期によって8%が適用される場合があります。

飲食店では納める税額が増える:店内飲食の売上は10%のままですが、食材の仕入れは1%になります。そのため、売上で預かる消費税は変わらず、差し引ける仕入れの消費税だけが減るため、納める税額は増えます。食材の支払額は減りますが、その分は申告のときにまとめて納めることになります。

食料品を売る事業者では還付になることがある:スーパーや食品メーカーなどでは、売上の税率が1%になる一方、包装資材や光熱費、設備などの支払いは10%のままです。支払った消費税が預かった消費税を上回れば、申告によって差額が還付されます。ただし、還付を受け取れるのは申告の後です。仕入れや経費の消費税を差し引かずに売上から簡便に計算する「簡易課税」を選んでいる事業者や、消費税を納めていない免税事業者は、還付を受けられません。

届出の特例:このため、飲食料品を売る事業者は、2027年4月1日を含む課税期間中に届出を出せば、その課税期間から課税事業者になったり、簡易課税をやめたりすることができる特例が設けられます。通常は、こうした届出は適用を受けたい課税期間が始まる前に出す必要があります。

簡易課税の計算の特例:簡易課税を続ける事業者は、1%の飲食料品の売上について、その売上の消費税と同じ額を差し引くことができます。飲食料品の売上については、実質的に消費税を納めなくてよいことになります。

関連する制度と開示

経理の実務では、主に次の点への対応が必要になります。

会計ソフトやレジの税区分:2027年4月以降は、1%、8%、10%の3つの税率が混在します。会計ソフト、レジ、請求書の作成システムに1%の税区分を設け、食料品の仕入れを自動で仕訳する設定などが8%のままになっていないかを確かめる必要があります。

インボイス(適格請求書):飲食料品については、適用税率を1%とし、1%で計算した消費税額を記載します。それ以外の記載事項は変わらず、「軽減税率の対象品目である旨」を記載していれば、「1%の対象品目である旨」を新たに記載する必要はありません。3月分と4月分をまとめて1枚の請求書にする場合は、8%の分と1%の分を分けて記載します。

返品や貸倒れ:2027年3月31日までに8%で売った食料品が4月以降に返品されたり、代金が回収できなくなったりした場合は、売ったときの8%で計算します。

売り手と買い手で計上日が異なる場合:買い手は、売り手が適用した税率で仕入れの消費税を計算します。請求書で税率が分からないときは、取引先に確認して判断します。

中間申告の特例:税率が下がった後も前年の税額をもとに中間申告をすると、納める税額が大きくなりすぎることがあります。そのため、前年に1%が適用されていたものとして計算した税額で中間申告をできる特例が設けられます。

商品の価格表示:税込価格を表示する義務は変わりませんが、値札の張り替えが間に合わない場合に備えて、税率が変わる前後のそれぞれ2か月間(2027年2月〜5月、2029年2月〜5月)は、誤解を防ぐ掲示をすることを条件に、変更前または変更後の税率による税込価格を表示できる特例が設けられます。

出典

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